Fri
08/15
2008
海の上のハロルド

【チャイルドハロルドの巡礼】第1編より、11連と12連
バイロン作 Shallot B.訳
11
館も、故郷も、財産も、土地も、
長らく奴の若い情欲を満たしてきた女たち、
隠者にして聖者を名乗る者でさえもグラつかせちまうような、
大きな青い瞳で綺麗な金髪と白い雪のような手をした
奴が大いに味わった女たちも、
どれも高い酒で溢れかえるゴブレットも、
豪奢へと誘うものをみんな
奴はためらいもなく置き去りにしたのさ、海を越えて
異教の地へと横断し、赤道を渡るそのために。
12
順風満帆、軽やかな片雲の風が吹いている。
生まれ故郷から漂泊させるのを喜んでいるようだ。
あっという間に視界からは白亜の岸壁がかすんでしまい、
すぐに取り巻いている泡へと消え入ってしまった。
そしてそれから、奴め、放浪したいと願ったことを
後悔していたかもしれないが、胸のなかでは
思想が静寂に包まれて眠っていたし、悔やみの一言だって
口をついたりはしなかった。他の連中は座ったまま泣きぬれて、
無神経なそよ風に吹かれて、しくしく嘆き続けていた。



